続・政略結婚は純愛のように
「ご案内している時から、奥様のご質問が鋭いところを突いたものばかりでしたので、ひょっとして同業他社の方かもしれないと思っていたのです。…加賀社長だってお聞きした瞬間は、あぁやっぱり、社員の方をお連れになったのかと思ったほどです。」

隆之は微笑んで由梨を見た。

「確かに妻は社員でもありますが、普段は私の秘書をしております。日本酒は彼女の趣味のようなものでして…私よりは詳しい。」

「本当に、随分とご勉強されてるようですね。」

由梨は頬を染めた。
 趣味と言えるほど大それたものではないが好きなことを褒められれば素直に嬉しい。

「色々とお聞きしてしまって、申し訳ありません。弁天酒造の見学はずっと来たいと思っていたものですから。私、短大時代に日本各地の食文化を研究するサークルに入っていたんです。お酒が飲める歳になってからは日本酒と食の研究を独学で少し…なので今日は興奮してしまって…。」

由梨が赤くなってごにょごにょと言うのに、隆之も驚いたように見ている。
 サークルに入っていたことは言っていなかった。
 佐藤は、おぉと大袈裟に声をあげた。
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