続・政略結婚は純愛のように
 凝った物でも高級な物でなくてもいいから、その日の気分で好きなものを作って食べたい、そんなそのささやかな希望を叶えるようと由梨は秋元に夕食は自分で作っても良いかと尋ねた。

「もちろんです、奥様。」

秋元は面食らったように言った。
 結婚後、秋元は由梨のことを"奥様"と呼ぶ。
 それをなんとも気恥ずかしく思いながら由梨は安堵した。

「良かった。」

「…本当は作って差し上げようと思っておりましたけれど。」

もちろんそれはそれでありがたい。
 結婚後も仕事を続ける由梨にだって疲れていて作りたくない日もあるだろうから。
 それならばと曜日を決めて週の半分ほどを任せることにした。
< 5 / 182 >

この作品をシェア

pagetop