続・政略結婚は純愛のように
 果たして、夕食を作るのは由梨が思った以上に楽しい作業だった。
 なぜなら、由梨が日本酒好きだからである。
 服やアクセサリーにはこれといって興味がなく令嬢らしくないなどと言われていた由梨には、各地の地酒を取り寄せて楽しむという密かな趣味があった。
 その美味しいお酒に合わせた献立を考えるのがとても楽しく、由梨はすぐに夢中になった。
 さらには秋元の作る夕食も美味しい。
 由梨に合わせて和食中心の献立はありがたいし、この地方独特の少し甘い味付けが由梨の好みにぴたりと合う。
 味付けを習いたいと言うと喜んでおしえてくれるので一緒に作ることも多かった。
 そんな二人の様子を聞いた隆之も都合がつく限り早く帰ってくるようになった。
 自分の作った物を大好きな人が美味しいと言って食べてくれる。
 そんな以前の由梨だったら考えられないような幸せな食卓を囲めることが嬉しい。
 そんなことを考えて笑みを浮かべた由梨に長坂がやれやれというように笑った。
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