花はいつなんどきも美しく
それからすぐに彼女は寝てしまった。


「今日は結月……この子が落ち込んでたから、気分転換にどうかなって思って、合コンをセッティングしたんです」


右隣に座っている子は、まるで母親のような優しい目をして眠る彼女を見ている。


「でも、間違ってたみたいで、余計荒れちゃって」
「あなたのその優しさは、きっと伝わってると思うわ」


こんな気休め程度のことしか言えないとは思わなかった。


「そうだといいんですけど」


その子は苦笑しながら水を喉に通す。


「今日のメンツは結構いい人たちだったんです。でもやっぱり、この子の中で一番は彼氏だったみたいで」


だからどの男の人もピンと来なくて、お店に入ってきたとき、あんなに怒っていたのか。


自分の中で最も大事にしたい人がわかっているのは、素敵なことだ。


ただ、その相手が最低な野郎ってことだけが、頷けない。


「千夏もごめんね。巻き込んじゃって」
「ううん、大丈夫」


控えめそうな子が首を振る。


「それにしても、どうして浮気するような最低な奴のことが一番だって思えるんだろう」


本人が眠っているから、本音が出てきたようだ。
まあ、それに関しては同感とも言えるけど。
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