花はいつなんどきも美しく
「私たちにはわからない、その人の良さを、結月ちゃんは知ってるんじゃないかな……」


恋は盲目、というやつか。


物は言いよう。
その人に夢中になって、悪いところも好きだからと許してしまうのは、違うだろう。


「好きな人のよさは、自分だけが知ってればいいって？」


その確認のような言葉に、控えめそうな子は頷く。


「そりゃ、好きな人を独占したい気持ちはわかるけどさ。でも、そいつがクズだったら、心配になるじゃん。騙されるんじゃないか、とか、また傷付けられるんじゃないか、とか……」


この子は本当に結月という子が心配らしい。
友達思いのいい子だ。


その子の言うこともわかるのか、控えめそうな子は黙ってしまった。


「たしかに……あの子のいいところを知ってるのは、自分だけがいいわ」


聞こえてきた会話に勝手に混じり、変なことを口走った。


慌てて口を塞ぐ。


「あれあれ？もしかして気になる人でもいるんですか？」


今出したお酒に手をつけていないけど、この子たちは合コンの帰り。
おそらく、お酒が入っている。


からかうように言われるが、まともに返さなくても大丈夫だろう。


「そうね。とても可愛い子よ」


笑顔を作って答えるけど、急に顔が熱くなってきた。
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