花はいつなんどきも美しく
いや、ついていけなくても、答えははっきりしている。


「あなたの気持ちは嬉しいわ。でも、ごめんなさい。嫌われてるかもしれないと思っても、諦められないの」
「悠之介、好きな人いるの……?」


告白を断っていたら、そんな声が聞こえてきた。


「聡美ちゃん!?」


入り口には、悲しそうな表情をした聡美ちゃんが立っている。


「私、この前自分がしたこと、謝りに……そっか、悠之介、好きな人が……」


今までの行為よりも、たった今さっきの言葉に、一番ショックを受けているように見える。


「……ごめんね、悠之介」


今にも泣きそうな笑顔で言うと、聡美ちゃんはお店を飛び出して行った。


「ちょっと待て!」


お店のことをすっかり忘れ、聡美ちゃんのあとを追いかけた。


聡美ちゃんはわりと体力があったみたいで、なかなか捕まえられなかった。


「……悠之介、おじさんみたい」
「……おじさん、なんだよ」


捕まえたときには、無様にも息を切らしていた。


「……なんで追いかけてくるの。好きな人、いるくせに」


聡美ちゃんは頬をふくらませてそっぽを向いた。


必死に息を整え、聡美ちゃんと向き合う。


「俺の好きな人は、聡美ちゃんだよ」


聡美ちゃんは目を丸くしている。
それもまた可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
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