さよなら、片想い
「教室は順調?」
「初めての生徒さんなので、なんともいえない……あっ、初めてというのは私にとって、って意味でね? 順調なんじゃないかな」
「慎重だねえ」
教室が終わり、外回りの車で社へと送ってもらいながら、運転席の高橋くんと話す。
高橋くんは第二新卒としてこの春に友禅部に入った若者だ。私よりひとつ年上だけれど、会社に入ったのは私のほうが先だからとタメ口での会話を求められている。
「そっかー、名取さんは友禅指導に出るの初めてなのか。ときどき忘れる」
「偉そうにみえた? 私」
「慣れているふうにみえたよ。教わっているほうも安心できそうな」
「口が上手だね」
部署内では一番経験の浅い私が、外部の人前で教えることに戸惑いはあった。でもそんなことばかりも言っていられない。成長が求められている。
「やっと週末だよ。やっと家でのんびりできる」
「初めての生徒さんなので、なんともいえない……あっ、初めてというのは私にとって、って意味でね? 順調なんじゃないかな」
「慎重だねえ」
教室が終わり、外回りの車で社へと送ってもらいながら、運転席の高橋くんと話す。
高橋くんは第二新卒としてこの春に友禅部に入った若者だ。私よりひとつ年上だけれど、会社に入ったのは私のほうが先だからとタメ口での会話を求められている。
「そっかー、名取さんは友禅指導に出るの初めてなのか。ときどき忘れる」
「偉そうにみえた? 私」
「慣れているふうにみえたよ。教わっているほうも安心できそうな」
「口が上手だね」
部署内では一番経験の浅い私が、外部の人前で教えることに戸惑いはあった。でもそんなことばかりも言っていられない。成長が求められている。
「やっと週末だよ。やっと家でのんびりできる」