ねぇ・・君!
恋人だと告げた時
英明が入院をしてから
一週間が過ぎていた。
その期間、清香は仕事が終わると
英明のいる病院に行っていた。
そんなある日のことだった。
いつものように、清香は
英明のいる病院に行ったのだ。
いつものように英明の病室に
入ろうとしたが、清香は
ちゅうちょしてしまっていた。
それは、病室に英明の両親が
見舞いに来ていたのだ。
英明は、ドアの外で立ち尽くすんでいる
清香を見つけたのだろう。
外にいる清香に言った。
「清香、遠慮をしないで入って来い。
おまえにオレの両親を紹介するよ」
そして、英明の言うまま
清香は病室に入った。
「おやじ、おふくろ、紹介するよ。
オレのオフィスで仕事をしている
広瀬清香さん。
オフィスで有能なのは
言うまでもないが、他のスタッフに
優しい心遣いをしてくれる女性なんだ。
そして、今はオレの恋人でもあるんだよ」
「はじめまして、広瀬清香です。
蛍池のマンションについては、
大変お世話になりました」
「あなたのことは、英明から
話は聞いていました。
非常事態だから、空き部屋に
避難をさせたいと言ってました。
英明は、3年前に離婚をしてから
浮いた話を聞いたことが
なかったんですよ。
英明が命がけで守ろうとしている
女性がいると聞いた時は、
これは春が来たと思ったんですよ」
「清香さん、これからも英明と
良いお付き合いをしてくださいね。
何かあったら、いつでも相談に
のりますからね」
「ありがとうございます」
清香の温かい心遣いは、
英明の両親に通じたようだった。
英明は、清香を自分の恋人だと
言ったことで両親が喜んでくれた
ことに感謝していた。
「清香、おまえに伝えておきたい
ことがあるんだ。オレの退院が、
あさってに決まったんだ。
現在、課長の代行で仕事をしている
恭輔に伝えてくれないか。
ただし、病院は退院しても
残りの1週間は自宅待機になった。
だから、残りの1週間は
オレの実家がある阪急千里線の
吹田駅に移ることになったんだ」
「そうなんですね、よかったです」
「清香さん、あなたに会えてよかったわ。
せっかくだから、英明。
お休みの間に清香さんと
デートをしたらどうかしら。
お仕事の時しか英明の顔を
見ていないのだから、
お休みの間にプライベートの
英明を見てもらうのもいいわね」
清香は、英明の両親に
公認の仲となったようだ。
英明の両親に気に入られたことで、
清香は幸せだった。
こんなに温かい両親の許で
暮らした英明は、きっと
幸せに違いないと清香は確信していた。
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