ねぇ・・君!
梅の木の聖霊にお礼参り
「お義母さん、梅の木に
鶯がきましたね」
「きっと、梅の木の聖霊が
何かの便りを知らせにきたのかもね」
この話は、みなべ町にいる
英明の姉と義母との会話であった。
そして、その会話が現実になることを
まだ知らないでいたのだ。
「お母さん、電話だよ。
大阪にいるおばあちゃんからだよ」
「うちの実家から電話がかかるなんて
なにかあったのかしら?
お義母さん、ちょっと電話に出ますね」
英明の姉は義母にそう言うと、
息子がいう電話に出ていた。
「もしもし?お母さん、何かあったの?」
「実はね、英明に
赤ちゃんが産まれたの。
男の子が産まれたのよ」
「そうなの、清香ちゃんは
大丈夫だったの?」
「母子ともに健康だそうよ」
「お母さん、英明におめでとうって
伝えて。あたしも旦那と一緒に
京都にお見舞いに行くわ」
実家の電話で英明に
子供が生まれたことを
聞いた英明の姉は、
さっそく義母に報告をしていた。
「きっと、梅の木の聖霊が
赤ちゃんを守ってくれたのね」
「お義母さんが、毎日梅の木の聖霊が
まつられている観音様にお祈りをした
おかげです。ありがとうございます」
梅の木は、女性と同じであること。
その梅の木に鶯が来たことで、
梅の木の聖霊が訪れて
子供が生まれたと便りを
運んでくれたことに
英明の姉はうれしかった。
「この便りは、梅の木の聖霊が
伝えたのね。観音様にお礼参りを
しないといけないわね」
「お義母さん、私もご一緒します。
英明夫婦の子供を守ってくれたことを
梅の木の聖霊に伝えたいんです」
「それは良いことだと思うわ。
これから二人でお参りをしましょう」
そして、英明の姉は義母と二人で
梅の木の聖霊がまつられている
観音様に出かけて英明夫婦の代わりに
お礼参りをしていた。
そして、英明の姉は夫と二人で
京都にいる清香のお見舞いに行った。
「清香ちゃん、おめでとう。
きっと、梅の木の聖霊が
赤ちゃんを守ってくれたのよ」
「お義姉さん、ありがとうございます。
これで、英明さんと
つながるものができました。
お義姉さん、私は英明さんの
梅の木になれたんですね」
「清香ちゃんは、英明の梅の木に
なれたのよ。英明が清香ちゃんと
寄り添っていきたいと願ったからこそ
梅の木が守ってくれたのよ」
梅の木は、女性と同じ気持ちを持つ。
それだからこそ、英明と清香を
夫婦としてつないでいた。
そして、二人に子供を授けたのだ。
「姉ちゃん、ありがとう。
オレに子供ができたことがうれしい。
清香とならオレが思っている家庭を
築いていける。これからは父親として
頑張っていくよ」
英明の言葉どおり、これからは
一家の主として清香と息子を
守っていこうと決めていた。
そして、息子の名前だが
英明の父が命名をしてくれた。
息子の名前は、
『憲司』と名付けられた。
これから、清香と憲司との
生活が始まろうとしている。
これからの未来予想図を
描いていきたいと願ってやまない。
英明は、そう思っていた。
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