ねぇ・・君!
お好み焼きをふるまう母の味
この日、英明の両親が
憲司を見にきていた。
この日は、英明が休みだったため
清香の実家にきていた。
英明の両親は、英明に
子供が生まれたことを喜んでいた。
「憲司、おじいちゃんだぞ」
長野家にとって内孫となる憲司が
生まれたことを英明の父は喜んでいた。
「お父さん、お母さん、
昼食ができましたから
客間にいらしてくださいな」
清香が清香の母と一緒に
昼食をつくっていたのだろう。
英明は、両親をつれて客間に行った。
この日の昼食は、お好み焼きであった。
清香は母と一緒にホットプレートで
お好み焼きを焼いてくれていたのだ。
「お口に合うかわかりませんが、
召し上がってくださいませ」
「そうか、お好み焼きは大好物なんだ」
そう言って英明の父は、
お好み焼きを食べていた。
「うまい、大阪でもこの味は出せない。
やっぱり、我が家で食うのが最高だ」
「喜んでくれてうれしいです」
「英明が清香さんと一緒になって
我が家は幸せだよ。
我が家に孫が生まれて幸せだ」
「お父さん、ありがとうございます」
「お待たせしました。お茶屋さんで
見つけました新茶です」
清香の母が持ってきたのは、
昔から馴染みにしている
お茶屋さんで買った新茶だった。
この月に必ず出ることで広瀬家では
毎年のように新茶を飲んでいた。
「もう新茶の季節になったんですね。
早いものですね。英明が清香さんと
結婚したのが昨日のことのようです」
「そうでしたね。結婚式を挙げる前に
婚姻届を出して正式に結納を整えて
結婚式を挙げましたものね」
英明の母と清香の母の会話を聞いた
英明は清香を妻に選んでよかったと
そう思っていた。
こうして、憲司が産まれるまで
清香を実家で療養させてよかった。
こうして、両親たちに孫を見せて
よかったと英明はそう思っていた。
そして、まもなく母の日になる。
英明は、二人の母に憲司という
最高の贈り物を授けることが
できたことをうれしく思っていた。
「あなた、あなたもお昼を食べたら?
私は、今から憲司を見てくるわ」
「泣いているのか?」
「3時間ごとの授乳だから大変よ。
お父さん、お母さん、
すみませんが席をはずします」
清香は、憲司のいる部屋にいき
憲司に授乳をさせていた。
こうして、自分が母となって
清香は子供の温かさを感じていた。
そして、母が自分のために心を砕いて
育てたように自分も憲司のために
心を砕いて育てていこう。
これから清香ができることは、
英明に家族のぬくもりを与えることだ。
この先、憲司のほかに家族が増える。
そのためにも、英明に尽くしていこうと
そう思った清香であった。
< 46 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop