ねぇ・・君!
茶屋町オフィスの仲間からのサプライズ
4月になり茶屋町オフィスに
新入社員が入ったことで
恒例の須磨浦公園での
バーベキュー大会を開くことになった。
「恭輔、ちょっといいか?」
「はいっ、どうしましたか?」
英明は、恭輔を応接室に呼んで話をした。
「恭輔、今年のバーベキュー大会だが
オレの代わりにみんなを
取り仕切ってくれないか?」
「課長、何かあったんですか?」
「たいしたことじゃないんだ。
今年は、息子が生まれたばかりで
清香だけでは手が離せないんだ」
「そうですよね。
課長に子供が生まれたのが
2週間前でしたよね」
「そうなんだ。清香は
先週に出産をした病院を
退院をしたばかりでな、
今は息子と一緒に京都の実家で
過ごしているんだ」
そう、この時英明と清香に
子供が生まれたばかりであった。
そして、生まれたばかりの
我が子と束の間でいいから
一緒にいたいという
英明の気持ちがあったのだ。
恭輔も子供を持つ親だけあって、
英明の気持ちが痛いほどわかっていた。
「初めての子供だから
一緒にいたいという
課長の気持ちはわかりますよ。
課長、清香さんのところに
行ってあげてください。
オレが課長の代行として
取り仕切っていきますよ」
「ありがとう、恭輔。
みんなをたのんだぞ」
毎年恒例となっている
バーベキュー大会であるが、
去年は高槻オフィスから
茶屋町オフィスに移転となった。
それと同時に孝之、香菜、
夏子、清香が加わったことで
大きな歓迎会となった。
しかし、英明が清香と
交際をすることになって
3カ月後に二人は結婚をした。
そして、清香の仕事を
引き継ぐために本社オフィスから
優子が人事異動で入ってきた。
そして、清香は仕事を
優子に託して専業主婦となった。
そして、今度は優子が
結婚のため退職をすることになった。
今年は、新入社員が入ったのと同時に
優子の送別会だっただけに
英明は寂しい気持ちであった。
そんな英明の気持ちを
痛いほどわかっていた恭輔は、
英明の話が終わった後に
高槻オフィスからの仲間である
雪恵と沙織に相談をしていた。
今年は、毎年やるバーベキュー大会
ではなく京都にいる英明と清香に
会いに行こうと二人に話していた。
恭輔の提案に雪恵と沙織は賛成した。
そして、その話がまとまった内容を
恭輔は既存の社員である孝之、香菜、
夏子、優子と新入社員である健吾、
美里、聡子、千春、亜希子を集めて
話をしていたのだ。
「恭輔さん、清香さんに
会いに行くんですか?」
「そうだ、先週に退院をしたから
実家にいるそうだ」
「あたし、大賛成です!
赤ちゃんを見てみたい」
「新入社員の健吾たちは、
どう思っている」
恭輔から健吾たちに
意見はないかと伝えられたことで
美里が意見を言っていた。
「恭輔さん、私たち大勢が
お邪魔することになると
課長もそうですが、奥さまに
ご迷惑がかかるのではないでしょうか」
「そう言うと思ってな、
当日に四条河原町にある料亭を
雪恵さんが手配をしたそうだ。
その料亭のおかみさんが
雪恵さんの同級生で、
バーベキュー大会の当日に
食事会の手配をしてくれるそうだ」
「雪恵さん、ありがとうございます」
健吾、美里、聡子、千春、亜希子は
雪恵にお礼を言っていた。
「さて、この食事会の会費だが
優子以外の既存の社員は、
それぞれ3,000円の負担でいい。
ただし、オレと沙織と雪恵さんは、
それぞれ5,000円を負担する」
「それって、結構豪勢な食事会に
なりますよね?」
孝之は、食事会の合計金額が
20,000円を超えることに驚いていた。
香菜と夏子も、去年の
バーベキュー大会の金額より
高めになることに驚いていた。
「今年は、健吾たちの歓迎会でもあるが
既存である優子の送別会でもあるんだ。
本来ならば、課長もバーベキュー大会に
出席することになっていた。
しかし、まだオレたちから
課長に子供が生まれたことを
祝っていないんだ。
せっかくだから、歓送迎会と一緒に
課長にお祝いを言いたいと思ったんだ」
こうして、恭輔のサプライズの案に
全員が賛成をした。
そして、バーベキュー大会となる
当日の日を迎えた。
この日は、英明は清香の実家に来ていて
生まれたばかりの息子憲司と
家族三人で過ごしていた。
ところが、英明の携帯に着信音が鳴った。
驚いた英明が携帯に出ると
相手は恭輔であった。
恭輔は、バーベキュー大会を
料亭での食事会に変更したことを
英明に告げていた。
そして、食事会の場所が
四条河原町にある
料亭であることを知らせていた。
突然のことで、英明はビックリしていた。
そして、憲司に授乳が終わった清香に
恭輔をはじめとした茶屋町オフィスの
仲間が来ていることを伝えていた。
英明と清香は、憲司を清香の母に頼み
恭輔たちのいる料亭に向かっていた。
そして、英明と清香がきたのと
同時にクラッカーが鳴った。
「課長、清香さん、
おめでとうございます」
「恭輔、これはどうなっているんだ?」
「みんなで課長のお祝いに来たんですよ。
今年は、健吾たちの歓迎会と
優子さんの送別会になりますから、
特別に食事会をすることにしたんです」
「そうか、みんなで来てくれたんだな。
ありがとう、オレの妻清香と
息子のために来てくれたことに感謝する」
「みなさん、ありがとうございます」
恭輔たちのサプライズを
英明と清香は感謝していた。
清香は、英明が職場である
茶屋町オフィスで恭輔をはじめとする
部下たちに信頼をされていることを
うれしく思っていた。
そして、短い期間ではあるが
茶屋町オフィスで働くことが
できたことを誇りに思っていた。
これからは、英明と憲司のために
温かい家庭を築いていくことになる。
清香は、英明を慕ってくれる部下たちに
感謝の気持ちでいっぱいになっていた。
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