ねぇ・・君!
天罰が下る時
清香は、英明のメモを
受け取っていた。
これから、決着をつけるって
どういうこと!?
そんな悪い予感が、
当たってしまったようだ。
オフィスの繁華街で、
救急車が走っていたのだ。
その光景を真近で見た香菜が、
オフィスに走ってきた。
「みんな、大変よ!
課長が、刺されたの!」
「どういうことだ?
課長は、無事なのか?」
「今、課長は救急車で運ばれました。
救急車には、沙織さんが
付き添っています」
「課長は、命がけでオレたちを
守ろうとしたんだな。
香菜、課長が運ばれた病院はどこだ?」
「大阪中央病院です」
「わかった。孝之、香菜、
おまえらはここで待機していろ!
警察から何かと聞かれるから
落ち着いて話すんだぞ。
雪恵さん、あとのこと頼みます」
恭輔は、そう言うと
英明が搬送された
大阪中央病院に行った。
英明が、刺された!?
決着をつけてくるって言ったけど、
まさか英明は、自分のために
命を投げ出したってこと!?
清香は、そう考えると
顔色が真っ青になっていた。
「清香さん!」
孝之、香菜、夏子の言葉もむなしく、
清香が意識を失って倒れてしまった。
「大丈夫、一時的なショックだから
落ち着いて。孝之くん、清香ちゃんを
ソファーに運んで」
「はいっ」
孝之は、清香を応接に使っている
ソファーに寝かせた。
雪恵は、今ではオフィスで
総務事務をしているが
高槻オフィスに入社する前は、
看護師をしていたのだ。
しかし、看護師の重労働に
ついていけないと感じた時に、
大学の通信教育で勉強をして、
そこで事務に必要な科目を
全部取り、見事に卒業をしたのだ。
それだけに、雪恵は
高槻オフィスでも
梅田茶屋町オフィスでも
必要な存在となっていた。
そして、英明が刺されて
救急車で運ばれた大阪中央病院に
着いた恭輔は、看護師さんから
処置室に案内されて、
そこで沙織と会った。
「どうだ、課長の様子は?」
「今は、意識が不明の重体だそうよ。
それから、課長を刺した相手だけど、
殺人未遂の現行犯で逮捕されたわ」
「現行犯で逮捕か。しかし、どうして
課長が刺される事態になったんだ?」
「それなんだけど、課長を刺した相手が
訳のわからないことを言ったわね。
オレの女をどこにやったんだって」
「それって、清香さんを
ストーカーをしていた男じゃないのか?」
「おそらく、そうじゃないかと思うわ。
課長は、清香さんだけじゃなく
オフィスの女性の社員に危害が加わると
判断して行動に出たんだと思うの」
そんななかで、英明は意識を取り戻した。
「課長、大丈夫ですか?
香菜から連絡を受けて飛んできましたよ」
「心配をかけてしまったな。
それよりもオフィスのほうは、
大丈夫なのか?」
「今は、雪恵さんが留守を守っています。
そして、孝之と香菜が待機しています」
「そうか、よかった」
英明は、起きようとしていたが
起きることができなかった。
英明は、これで清香を守ることができた。
愛する女性のために命がけで守る。
それを、体を張って見せつけたのだ。
史生は、殺人未遂で
現行犯で逮捕されたのだ。
清香を苦しめる者は、誰であれ許さない。
それを、史生に思い知らせたのだ。
英明は、全治2週間の入院となった。
それまでの仕事の段取りを組んで
必ず退院して職場復帰をしてみせると
英明は、そう思っていた。
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