その青に溺れる



誰が願ったのか、この出会いを。

あぁ、そうだ、自分だった。

恋焦がれ、憧れた人が目の前に居るのに

歌詞を見ている時は至福しか無かったのに

確かに好きだったのに

顔に触れる手の平の温もり

耳をなぞる指先

口内を縦横無尽に這い回る生暖かさ

確かな感触があるのに


ずっと好きだったのに


「嫌だろうが俺がしたい時にしろ」


その相手は最低で最悪で

私を好き勝手に振り回して遊ぶ

強引で傲慢な男だった。


備考、キスが好きな男。
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