幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「りり、帰るぞ」

「あ、うん。またね、晴くん」

「また明日」

玲音に引っ張られたまま、家の近くの信号まで来た。

そこでやっと止まったので、玲音の手を振り払った。

「晴くんにあの言い方はないよ!さすがに友達を傷つけるのは許さない」

「何が友達だよ。あいつ、お前のこと好きだってのバレバレじゃんか」

「そんな訳ないでしょ!」

「お前は分からないかもしれないけど、俺には分かるの」

「あっそ。でも、困ってたのは本当だから!」

玲音は私の腕を引っ張って、引き寄せた。

と同時に私の額に何か柔らかいものが当たる。

まさか………唇?

ということはキス?

「あいつと仲良くすんならお前のこと、もっと困らせてやる」

「はあ!?さっき困らせないって言ったのは誰よ!」

「俺だけど?でも、あいつと仲良くするなら嫌。お前は俺のことだけ見てればいいの」

何それ。

まだ玲音の唇が触れた額は熱いままだった。
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