雨がふったからそれで
___プーーッ
と後ろ車から鳴らされたクラクション
それで一気に現実に戻された。
運転を再開した彼から
「んな馬鹿なことして、
職失いたくねーんだけど?」
と少し迷惑そうに言われた。
わかってる。
あたしだってわかってる。
馬鹿なことしてるって。
「っ、、だってぇ、、
好きになっちゃったんだよ、、、。
そんな、世間の目を気にして生きてけるほど、
大人じゃないもんっ、、。」
堪えてた涙も我慢の限界で、
滝のように溢れてくるのを抑えられず
子供のように泣きながら訴えた。
「はぁ、俺の受け売りかよ、。」
ため息まじりに呟く彼
このままじゃダメだと思って
少し焦りながら
「ごめん、先生。
これ以上迷惑かけないから、
こんなこともうしないから、、
だから、、スズのこと嫌いにな、、、」
この後の記憶は曖昧だ。
溢れる涙を拭いながら話していたら
最後の大事な言葉が最後まで言えなかった。
それは彼の唇があたしの言葉を止めたから。
あたしのした軽いキスじゃなくて
彼から貰ったのは
荒々しくて苦しいものだった。
先生はスケコマシ。
ハイスペックな彼の周りには
きっと、あたしみたいに馬鹿な女が
沢山いるんだろう。
あたしは馬鹿だけど
理解ができない女じゃない。
この時間が永遠じゃないのも
先生があたしを好きじゃないのも
わかってる
それでも心のドキドキが
止まらなくって
今夜だけでも非日常を味わいたくって
彼の首に腕を絡め口付けに応えた。
路肩に雑に止めた車
エンジンすら切っていないから
車内に流れる流行りの曲
少女漫画みたいなロマンチックさは
ひとつもないけれど
それでも今のあたしには充分で
目の前にいる彼が全てだった。
ゆっくりと倒されたシートに合わせて
私も彼に身を委ねた。
今夜限りのこの恋の名前が
浮気なのか、不倫なのか、
わからないけど
私にとっては『純愛』だった。
そう思えたのも
彼の車から流れた曲が
好きなバンドの片想いソングだったからと
頭の中で言い訳をしながら
全身で彼の一時的な愛を感じた。