夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜

「つまり、桃子は俺とはセックスしたくないということか」

「なっ……!」

はっきりとした単語で言われると妙に恥ずかしくて、体中の熱が一気に顔に集まった。これじゃあ意識しているのがバレバレだ。

「したくないんだな」

「そこまでは言っていません、ただ、早いんじゃないかと」

「そうか、わかった」

えっ!

そんなあっさりと?

結婚のときがかなり強引だったので、今回も押し切られるのではないかと思っていたけれど、私の思い過ごしだった?

「無理強いしたりはしない。こればかりは、桃子の気持ちが大事だからな」

「いや、あの……」

結婚も同じですよ、そう言おうとして思わず言葉に詰まった。同意した私にも責任はあるのだから。

「結婚は問題ないだろ」

心を読み取ったのか、余裕な表情でそう告げられた。

「すみません、海堂先生の概念が私にはさっぱり……」

「桃子は必ず俺を好きになるという意味だ。それなら、結婚は早いほうがいい」

どこから湧いてくるの、その自信は。あっぱれというか、すごい。それも人の命を預かる医師という特殊な職業に就いているからだと言われたら納得してしまうけれど。

視線を落とすと左手の薬指に嵌められたダイヤの指輪が目に入る。まだ実感はわかない。

「桃子」

顎先に海堂先生の指が触れたかと思うと、無理やり上を向かされた。男らしさを感じさせるまっすぐな瞳から目が離せない。

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