かすみ草の花束を。


「あ、きたきた! テストお疲れ様〜っ! どうだった?」

流川先輩は私たちが空き教室に入ると、待ってましたと言わんばかりに向かってきた。
まるで大型犬みたいだ。

久しぶりの先輩たちの秘密の場所。
4日来てないだけでこんなに懐かしくなるんだ……
正しくは休日も合わせて6日なんだけど。

「正人、がっつきすぎ」

「…っ」

黒崎先輩だ……やっと、会えた…
今日もキラキラしてる。
キラキラがとんでる……

「…お疲れ」

黒崎先輩と目が合うと同時にそう言われて、キュンと胸が音を立てる。
"お疲れ様です"ではなく、"大好きです"と返事してしまいそうになるほど…。

私は流川先輩を横切り、黒崎先輩の前まで来た。

「はい…先輩も」

先輩は机の上に座っていて、私と目線があまり変わらない。
先輩の全てにドキドキして、キュンキュンしてしまう。

「あの…勉強教えてくれて、ほんとありがとうございました…!」

「ん……頑張ったな」

そう言われ、頭の上に何かがあたる感触がした。

……え………?


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