かすみ草の花束を。


「それはあんたが努力したからだろ」

「っ…! いえ! ここまで点数取れたのは、明らかに先輩のおかげです!

ほんとありがとうございます…!」

「あんたが取った点数にはかわりない。

だから…胸張ってればいんじゃない?」

そう言うと、目の前にいるこいつの目がまた余計にでかくなっていく。

「…………」

……は…?

そのでかくなった目から、静かに涙が流れだした。

「…花咲さん?」

「小枝…」

正人と町野が名前を呼ぶが、こいつの溢れ出した涙が、やっぱり何かあったんじゃないかと俺に伝えてくる。

「……その先輩の優しさが、どうして…伝わらないんだろう…っ!

先輩もっ…胸張っていいですからね!?」

そう言って目をゴシゴシと擦った。

「…すいません…食べましょう…!」

「何があった?」

「…っ…」

「さっきからずっと泣きそうな顔して笑ってる…まさか、俺のことか…?」

そう聞くとこいつは黙り込む。

図星かよ……
そんなことでずっと泣きそうな顔で我慢してたのか…?

どこまでバカなんだ……

「今まで成績悪かった俺が、いきなりあんなとこに名前張り出されたんだ。
周りの反応の予想はついてるし、別に俺は何言われてもいいって言ってんだろ?」

俺のせいでそんな顔させてたとか…はぁ……

何でそんなに、俺のこと思って、泣いたり笑ったりできるんだよ。


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