かすみ草の花束を。


「もしかして…小枝、気づいてたの…?」

「あ、いや…なんとなくね、そうかな~って」

「…っ…言ってくれればよかったのに~~…」

そう言って顔を赤らめる美羽がまた可愛い。

「言ってくれるの待ってたんだ」

「…そっ、か。 でも…流川先輩と顔合わせづらいな…」

「どうして?」

「だって…、好きだと思ったら、先輩の顔なんて見れないよ……」

か、可愛い…っ
美羽の頬はほんのり赤く染まっている。

「流川先輩にその顔見せたいなあ~~」

「…どんな顔になってる…?」

「ふふ、恋してる顔」

その時、ちょうど授業の始まりを知らせるチャイムが鳴る。
美羽は「もうっ!」と言って再び可愛い顔を見せてくれたあと、自分の席に戻っていった。

美羽と流川先輩。
すごくお似合いで大好きな2人だから、2人が幸せになってくれたら私も嬉しい。

私のことをいつも応援してくれて、見守ってくれて、そういう2人のおかげで今の私がいるんだ。

…私も、めげない…!

黒崎先輩が大好き。

その気持ちは変わらない。
少しもなくなったりしない。
むしろ日に日に増えるばかり。

だから、いくら先輩に近づく綺麗な女の子が増えようと、私は私で頑張るんだ…!
先輩だって、誤解が解けていくのは嬉しくないわけないもん。

先輩の幸せが、私の幸せ。

私に見向きもしなくなってしまうんじゃないかとか、先輩のあの笑顔をみんなに見られてしまうのが嫌だとか…

そんな薄汚い感情で胸が締め付けられそうだったけど、"流川先輩のことが好き"だと恥ずかしがりながらも伝えてくれた美羽に、なんだかとても力をもらった。


< 145 / 396 >

この作品をシェア

pagetop