かすみ草の花束を。


それに黒崎先輩の誤解がなくなってきて、これは喜ばしいことなんだ。

先輩が優しい人だとわかったらもう誤解されることはないはず。
先輩だってたくさん笑顔になれる。

だから…やきもちなんて、だめだ……

私のこの気持ちは、いらない。

こんなの、消えてくれればいいのに……

私はそのまま先輩のことを見ていられる自信がなくなったので、大人しく教室に入って席に着いた。

もう黒崎先輩を見つけて駆け寄っていくのは私だけじゃないんだな……

「小枝、大丈夫…?」

ベランダから戻った私を見て、美羽が心配してくれる。

「うん、大丈夫! わかってたことだもん…!」

「辛いよね…目立つ人を好きになるって……」

…美羽…?

もしかして…っ!

「小枝…私、流川先輩のこと好きみたい……」

「……っ…!」

私だけに聞こえるように言った声は、今にも消えてなくなりそうだった。

「うん…っ! すごくお似合い!
めちゃくちゃ応援してるよ…!」

私がいきなり大声でそう言うから、クラスのみんなが一斉に私のほうに振り向く。

「あ…、ごめんなさい」

私が謝ると「急にどうした」「なんかめちゃくちゃ応援された~!」と優しいみんなは笑って許してくれた。


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