かすみ草の花束を。
「弟、いくつ?」
「まだ13歳の中学二年生ですよ」
「他に兄弟は?」
「いません。 母と父と雄大の4人家族です!」
先輩に送ってもらう帰り道はいつもより早く時間が過ぎてしまう。
先輩のそばは、なんだかこそばゆくて、緊張して…でもあったくて、安心する。
優しくてキュンキュンして、これを一言で表すのは難しい。
「あの、先輩。
ずっと気になってるんですけど…さっき怒ってたのは、何でだったんでしょうか…?」
「……。 あんなに他のやつらが説明しといて、わかんないとか?」
「…はい」
その通りです。
全然わけがわからなくて、とにかく雄大と私を見て不愉快になったことだけは伝わった。
あとは先輩が雄大を弟ではなく、違う何かと勘違いしたことくらい。
「あんたが弟に笑ってんの見て普通にムカついた…」
へ?…ど、どうして…!?
「…あんたが知らないやつに笑ってんのも気にくわないし、触ってんのもイライラする」
「き、気をつけます…」
「わかってんの? 俺の言ってる意味」
先輩はそう言って立ち止まるから、私もつられて止まった。
先輩の目は私を鋭く捉えて離さない。
その先輩の綺麗な目に今にも吸い込まれそう。