かすみ草の花束を。
「俺思うんだけどさ…姉ちゃんなんか、ちょっとだけ大人っぽくなった?」
「…えっ!? うそ!」
雄大の言葉に目を見開いて驚く私。
単純だから嬉しくなってしまう。
「私も…! 思ってた!」
「ほんとに!?」
美砂も続けてそう言ってくれるから、私はまた嬉しくなって自然と笑顔になる。
「先輩と並んでもちょっとはおかしくなくなったかな…?」
「今までもおかしくなかったよ」
美羽はそう言ってくれるがわかっている。
これは美羽の優しさだということを…。
先輩と私が不釣り合いなことは重々承知の上なのだ。
私みたいな童顔チビな後輩より、綺麗でお淑やかな美女が似合うに決まっている。
あぁ…自分で勝手に想像して悲しくなってきた……
「黒崎先輩って、本当に綺麗でかっこいいの!
男の人であんな綺麗なんてずるいし、私がその隣にいるなんてただの手下にしか見えないもん」
「手下か…姉ちゃん、気づいてないの?」
「え…?」
何を!
「あの人の目…姉ちゃん見るときだけ、ちょっと違うんだ」
あの人って、黒崎先輩のことだよね…?
「ちょっと違うってどういうこと…!?」
「うまく言えないけど…まあ、頑張って」
雄大はそう言って中学校に向かう道を歩いて行く。
雄大と美砂とはここでお別れ。
「小枝ちゃん、また日曜に!」
美砂はそう手を振ってくれ、雄大の後を追っていった。