かすみ草の花束を。


「…あ~~…聞けた〜…っ!」

「…!?」

突然大声を出してテーブルに顔をうつ伏せにする冬夜に、思わず目を見開く。

「やっとこの瞬間がきて俺は大喜びなのに、純は俺の顔見てすげー辛そうだし、正直無理かと思った……」

「……」

「てゆうか、ずっと親友だから…!
俺は純のその気持ちを聞けたことが、めちゃくちゃ嬉しい。
また今日からよろしくな!」

顔を上げニカっと笑う冬夜につられて、俺の口角は自然と上がった気がする。
どこまでも前向きで元気なこいつに、今までどれだけ救われてきただろう……

「わっ、純が笑った…!
久しぶりに見た…

そんな風に笑えるようになったのも花咲ちゃんに出会ったからなんだな」

自分がどんな風に笑ってるかはわからない。
ただ、勝手に笑顔になってることが増えたのは、明らかに花咲のおかげ。

「花咲ちゃんに言われたこと、まだ続きがあってさ…、俺のことは花咲ちゃんには関係ないのに、どうしてそこまでして一生懸命なのか聞いたんだ。
そしたら……」


ーー" 黒崎先輩は言わないけど、間違いなく冬夜さんと友達でいたかったはずなんです…!

だけど先輩は、自分のことを考えなくて…それが私はどうしても嫌で……
これも私の我儘なんですけど…大好きな人に残る後悔や、心の端にあるつっかえがあるんだとしたら、全部拭い去りたい…!

さすがに全部は無理かもしれないけど、できる限り、そのつっかえを笑顔に変えられるように…

もう完全に欲まみれな私は…、誰よりも黒崎先輩のこと、幸せにしたいんです…っ! "ーー


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