かすみ草の花束を。


さっき3年が言っていた『正人に近づくために俺を利用してる』とか、一番納得できる。
なのにそう言われたとき、すげームカついて反吐が出そうだった。

何でだ?

こいつはそんなことできるほど器用じゃない。 なんせアホだから。
バカでチビでマヌケな後輩。

俺のために弁当作るとか、なんの得にもならないことを平気でやる。
嫌われてるとわかっている相手に、毎日好きだと言い続ける。

やめればいいのに、そんな無駄なこと……


「あの…先輩…」

後ろから聞こえた声は、珍しくか細い声だった。

さっきのことがこわかったからか、それともどっか怪我でもしたのか……
こいつだって俺の近くにいないほうが、絶対何事もなく平和で幸せなのに。

俺が振り返ると、言いにくそうにしながら重い口を動かした。

「…わ、私は…っ
…流川先輩じゃなくて……黒崎先輩に、お弁当を作ってきたんです…!」

「知ってるけど?」

そう返すと、わかりやすくホッとしたような顔をする。

もしかしてさっき3年が言ったこと間に受けて、俺がそう思ってんじゃねぇかって不安になってたのか…?
ほんと、バカじゃねーの……


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