かすみ草の花束を。
純side
何で俺…弁当に対してこんなにイライラしたんだ…?
いや、違う。
別に弁当でイライラしたんじゃない。
ただ、こいつが……
「…先輩…」
「…なに」
「……すき…
…大、すき……」
……ドクン…ーー
…なんだこいつ……
いやいや、好きだなんて何回も言われてんだろ?
「……もう行くぞ」
俺は手に持っていた開けっぱなしの弁当を渡すと、旧校舎のほうへ歩き出した。
いつも簡単に突き放してきたはずなのに、どうして今何も言えなかったんだ…?
ただこいつが、いきなり敬語じゃなくなったから少し驚いただけ。 それだけだ。
「はいっ!」
大体、俺なんかについてまわるからさっきみたいなこともされんのに、何でついてくるんだよ。
泣くほどこわかったんだろ?
俺のせいで突き飛ばされて、あいつらに嫌なことばっか言われて、何が『ありがとう』だ。
意味わかんねぇ…
こいつの言動全部、わかんねぇことだらけでほんとにイライラする。
俺の後ろをついてくるこのちっさい後輩に、俺はすでに自分のペースを崩されていた。