かすみ草の花束を。


……ドックン…っーー


何だ……これ…


どっかで………



「…先輩…? どうかしましたか?」

俺の異変に気づいてか、不思議そうな顔で見られている。


気のせい、か……



「俺はあんたのヒーローでもなければ正義の味方でもない。
もしそんなやつが好きなら俺は真逆の人間だから。 ヒーローものでいうと、間違いなく悪者」

俺が喋ってる間、じーっと俺のことを見つめて聞いていた後輩。

視線があつい。 まじで焦げそう……


「…ヒーローが好きなんじゃなくて! 私は先輩が好きなんです…っ!
先輩が悪者だって言うんなら、私は悪者が好きです!」

…はい…?

「というか、先輩が悪者と言っても、私にとってはキラキラしてて、ヒーローなんですよ…!」

なんなんだこいつは……
ほんと言いたい放題だな。
まじでわかんねぇ。
俺の何を知ってて好きだとか言うんだよ?

「先輩は私のこと、嫌いで鬱陶しくてしょうがないと思いますが、やっぱり黙って見てるだけなんて私には無理です…!
先輩のそばにいたいんですもんっ!」

「……何で」

「え…?」

「何で俺のこと好きなの」

…っ…何言ってんだ俺……

思わず口に出してしまった疑問。
いつも俺ん中は、こいつへの疑問だらけ。

けどわからずにイライラするくらいなら、いっそ本人にわかるように説明してもらえばいい話だった。


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