かすみ草の花束を。


「先輩…、本当に勉強教えてくれるんですか…?
めんどくさくありません……?」

毎日のように面倒だと言われているから、勉強を教えるというのは先輩にとって面倒でしかないはず。

「……徹夜でもされて倒れられたら俺が気分悪いだろ。 あんたの頭効率悪そうだし」

…な…なにそれ……
私が徹夜しても、倒れたとしても、先輩が気にすることじゃないのに…

好き。
好きだなあ~…

こんなに優しいのに、先輩は自分の優しさに気づいてないらしい。

「私やっぱり…先輩のことが、大好きですよ」

先輩に満面の笑みでそう伝えると、先輩は顔をそらして「…あっそ」と、返事をしてくれた。

今まで好きだと何回も言ってきたけれど、今日はどうしてか先輩の反応が違う気がする。
自分のいいように捉えてるだけかもしれないけど、拒否はされなくて、先輩がほんの少し照れてるようにさえ思えてくる。

………。 いやいやいや、それはないって。
あぁ、ここまでくると自分がこわいな…
いくら先輩をいつも観察してるからって、嫌いな後輩に照れるわけないのに……

でも、先輩が勉強教えてくれる…!
こんなこと妄想でしか叶わないと思ってたのに、すごく嬉しい。


< 64 / 396 >

この作品をシェア

pagetop