かすみ草の花束を。


「…やっぱり大丈夫です! ひとりで勉強できます!」

「できんの? わからないとこわかんないのに?」

うっ…墓穴掘った。

「あと、大丈夫禁止」

「えっ!」

「わかったら返事」

「え!?」

「早く」

「は、はいっ」

………あ……つい返事を……

これは罠だ。
先輩の罠にまんまとかかってしまった。

「あんたって、やっぱバカだな」

先輩はそう言って一瞬、ほんの一瞬だけ。

「笑った…ーー?」

「あ?」

あれ……
目の前にはいつもの先輩がいて。

気のせい…?
確かに今、笑ったように見えたんだけど…

もしや、勝手に私の妄想スイッチが作動した!?

「ここの問題、途中までできてんじゃん。
あとはこの公式に当てはめるだけだから、まず公式覚えたほうがいい」

……ドキン…

…ドキン…ドキン…

先輩は私が解いた問題に書き込みながら説明をしてくれるが……

…ち、近い……
先輩と私の距離、机の幅より近いですよ。


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