かすみ草の花束を。
小枝side
「せ、せんぱい…も、ダメ……」
「我慢しろ」
「もう限界です~~…!」
放課後になり、約束通りいつもの旧校舎の教室で黒崎先輩に勉強を教えてもらうことに。
美羽にはお昼先輩たちと別れたあと、黒崎先輩にテスト勉強でわからないところを教えてもらうことになったと伝えた。
「限界って、まだ2ページしか進んでないんだけど」
前の席で私の教科書を暇そうにパラパラ見ていた先輩が、私のほうを振り返ってそう言う。
「先輩…私がどのくらい数学が苦手か知らないでしょう? まだね、まだ算数のときまでは頑張れてましたよ? 九九だって完璧です!」
「それ自慢することか?」
「だけど数学という名前に変わってから、数字や記号への拒否反応が…!」
「はぁ…バカなこと言ってないで早くやれ。 わかんねーならすぐ聞け」
結局優しい先輩。
優しさが身に染みる。
だけど……
「先輩…、どこがわからないのかわかりません…」
そんな先輩を困らせる後輩が…ここに……
先輩の顔の眉間にはいつものシワが…
あぁ、また迷惑かけてる……
「すいません…こんな手のかかる生徒で」
「…ほんと、手のかかる生徒だよ」
先輩だって自分の勉強あるのに…
結局無理させて、本当に嫌な後輩じゃないか。