どうも、弟です。
「一花と一緒だから、楽しい」
「~…っ」
そのまま肩を抱かれてしまい、私はなにも言葉を返すことができなくなってしまった。
ドキドキして、恥ずかしくて。
でもどうしてだろう…ただのドキドキじゃない。
人前に出たり、話したりする度に感じていた……緊張して、体が強張って、指先がどんどん冷たくなっていくような、あのドキドキとは全然違う。
体が変に熱くなって、照れくさくて…でもおかしなことに、嫌なドキドキじゃない。
……嬉しい、なんて気持ちまで入ってるような、秋くんといた時にも感じたことのないような……そんな初めての感覚。
「きゃあっ!」
「誰あのイケメン!?」
雪くんの行動に、黄色い声が飛び交う。
誰も、秋くんの弟だと思わないだろうな。
そもそも髪の色が秋くんとは全然違う上に、瞳はカラコンのおかげで真っ赤だもん。
身長だって、秋くんより小さいけど、こうして並ぶと結構大きいし……
「……あ、れ……?」
私は、隣にいる雪くんを見る。
つい最近まで、私よりも少し大きいくらいの身長だったはずなのに。
今ではこうして、見上げなければいけないくらいに背が高くなっていた。