愛は惜しみなく与う③
「でも、杏と行きたいし…」

「いや、それ俺のセリフな?」


そう泉は笑った
そうか。泉は杏が好きなんだ。
泉は布団から出て、俺を部屋の外に連れ出した

時間は見ていないが、まだ朝方にもなっていないくらいだろう。


「長谷川だけど、何かあるな。俺もそう感じた。よくわかんねーけど」


お前が言ってた事が少しわかるよ。そう伝えてくれた。
やっぱり俺の嫌な感じは当たってたんだ!


「何かされた?杏は?大丈夫かな?」

「うん…大丈夫だとは思うけど、わかんねぇな。何か企んでいるのは間違いねぇ」


ゾワっとするんだ。あの女を見ていると
杏もきっと、気にはしてくれてるから大丈夫だとは思うけど


「旅行から帰ったら、杏には悪いが対応させてもらう」


泉はタバコをふかしてそう言った


そうか


旅行まで我慢すればいい

どうしてこんなに嫌なのか理解はできないけど、何か起きる前に…対応したい
大事な仲間が傷つかないように



でも今すぐ対応しなくちゃいけなかったんだ


あんな事になるなら…


杏に嫌われても、あの女を初めから悪者扱いしておけばよかった

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