愛は惜しみなく与う③
ただ一つだけ


「なぁ、泉達にさ、伝えてくれへん?帰ってくれって。あたしは大丈夫って伝えて欲しい。それで、約束通り、烈火には手ぇださんといて」


これだけは譲れへん


「うん。いいよ?俺の目的はあんただから。烈火は興味ないし。さっきからあんたの携帯にずっと電話がかかってきてるから、出るよ。

それで自分の口からお別れでも言ったら?それくらい話していいよ」


なんやそれ
そっちのほうが酷やのに。最悪やなぁ

でも最後に

泉の声聞きたいな


きっとこれが終わってもあたしは逃げれへん

わかるねん。

サトルはこんなんじゃあたしを解放してくれへん。だからこそ

サトルに繋がる


もう終わらせたいねん


烈火があたしから離れれば、失うものはないし、思う存分できる

志木は…怒るやろうけど、志木の心配はしてない。強いし大丈夫


どんなあたしでも受け入れてくれるから


「もう、あんたの好きなようにしてええよ」


あたしは自らカメラがセッティングされた、ベッドに身体を沈める。


あたしが蹴り上げたときに、口元が切れたのか。水瀬は口の横の血をペロリとなめて、笑顔であたしの上に乗る
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