黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
末良刑事が声を荒げ、京は「ええ、そうね」と冷静に答える。

「大体、ホームズとワトソンが住んでいた221Bは作者の中で作られたものだから、ベイカー街を端から端まで探しても見つからないわ」

「とにかく!俺は駿河雅彦に話を聞きに行くからな!!」

「被害者の身元は?」

興奮する末良刑事に京が訊ねると、「千田薫(せんだかおる)!!株式会社××の社員だ!!」と怒ったような声で返ってきた。

「京さんは、今回の事件についてどう考えているんですか?」

遼河が訊ね、京は少し考えてから言った。

「今確実に言えるのは、今回の犯人はシャーロック・ホームズのファンではないということかしら」

「そんなんですか?」

遼河は、服の袖口に触れながら言う。京はそれを横目でちらりと見てから歩き出した。
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