黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
事件現場は、診療所から一時間かかる場所だった。公園で遺体は発見されたようで、大きな公園の前には黄色のテープが貼られている。

「先生!これでも駿河雅彦の犯行じゃないと言えるか?」

目を輝かせ、興奮しながら末良刑事は公園のベンチを指差す。ベンチには、心臓をナイフか何かで刺された男性の遺体が放置されていた。

「遺体のそばに封筒がある!」

遼河が言い、末良刑事はニヤリと笑いながら「中身はこれだ」とK・K・Kと書いてある紙とオレンジの五つの種を見せる。

「これは原作通りであってる?」

遼河の呟きに京は首を横に振った。末良刑事の顔が強張る。

「お話では、被害者は殺される前日に脅迫状を受け取ることになっている。こんな奇妙な手紙を、何も知らない人が殺される直前まで持ち歩くとは思えない。さらに、被害者は刺殺ではなく橋から突き落とされて殺されている。死んだ場所が公園というのも不思議よ」

「何もかも物語を再現できるわけじゃないだろ!!第一、ここはロンドンじゃなくて日本だ!!」
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