悪魔になった天使
此処がどこなのか。そして、なんのために、此処に来たのか。わからない。何か、指命があったはずなのだが、なんだったか。大召喚士としての確か試練だったはず、そうだ、俺、リバイに魔力吸われ過ぎて力つきたんだった。アハハアハハ俺は、バカだな。試練に合格できなければ、守りたいものも守れず、車や飛行機だって乗れなくなるのに、どうして、どうしていつも、こう力んでしまうのか。鮫風家さえ来なければ、俺じゃなく、もっと違う人がなってたはずなんだ。雪国では最強の、師匠の一番弟子がなってたはずなのに、どうしてこんなにも運というか、俺の人生は厄介なものに崩させれしまうのか。
はぁー、ため息だってつきたくなるよ。だけど、あいつは、綺麗だったな。確か鮫風璃珈だっけ?助けてくれた人だ。あの人には、生きて恩を返したいのに、それさえも叶わないとは、アハハアハハついてないやー。
「何を一人でぶつぶつ言っている、我が主よ。」
あぁ。俺は、死んだんだ。だから、お前は違う人のもとへ行け。
「とうとう、頭までおかしくなったか、我が主よ。お主は目的があろう、船や車、飛行機、全て乗り、そして、その鮫風璃珈に恩を返すのであろうが、此処ですべて諦めるのか?まだ、試練の結果もまだだと言うのに。」
なにいってんだよ。おかしくなったのは、リバイお前だろう。
「言っておくが、リバイ、リバイと私の言い方を間違えおって、言うぞ。我の名前は、リヴァイアサン、その進化前、リヴァイだ、今度はしっかり覚えろ主よ」
あぁ。覚えるよ。それと、お前も人のこと言えんだろ、俺の名前も覚えろよ、俺の名前は、藤浦拓助(フジウラタクスケ)
「変な名前だな。わかった。ウラタク。さて、そろそろ、発表があるから、
起きろ主」
わかったよ。目覚めりゃ良いんだろ目覚めりゃ。
目を醒ますとそこは、変わっていなかった。
「あれれー、目は覚めてるんだが、風景変わらんぞ。」
「当たり前だ主、お主は、ずっと目が覚めてた。夢なんか見ておらんし、ずっと寝っ転んでいた。だから、体を起こせと、我輩は言ったのだ。ボケておるのか!」
「あぁ、悪かったよ。さてー、どういうことですかねこれは。」
そこには、破壊された壁に突如空いた巨大な穴そして魔物の死体に怪我を負った者たちが次々に運ばれている最中だった。
「我輩の力で、師匠から召喚された魔物どもを蹴散らすまでは良かったが、お主の魔力が暴走しおったせいで、我輩も力加減が出来ず回りの者たちを巻き込んでしまった。しかし、師匠は自分の召喚獣で、守ったようだ。」
それは、氷漬けのように、師匠そのものが中に入っていた。これは、まさしく
「我が知る限りでは、シヴァしかおらんな。こんな芸当が神以外に使えるのはあやつだけだ。本当に美しいものだ。」
氷を司る召喚獣シヴァは、炎すらも凍らせるらしいがこの、氷の中に人が入って大丈夫なのか?
しかし、その問いの前に目の前の氷に亀裂が入った。
ビシッビシッビシビシビシッパリーン!
亀裂が一周し終わると氷は割れ、師匠が中から出てきた。
「暴走という形であれど、召喚獣リヴァイアサンまでには進化出来ておった。一応は合格とするが、これはお主がまだ、一人前になったとは違う意味での始まりの一歩でしかない。」
師匠は、俺を見つめてそういい放つ。
「力とはなんのためにある?お主のその力は何のため、誰のために使う?己のためか?そんなものなら、そんな力は捨てることじゃ。しかし、人を、大切な物を守るための力として使うのなら、お主に今後の試練を与えよう。どうするかは、お主次第じゃ。」
師匠はそういって、その場を後にした。
師匠が去って俺は、この力をなんのために使うのか、見つめ直した。あの人を殺すため、鮫風璃珈あいつをどうやってでも、葬り去ることが出来なければ、この力の意味がない、そう決意して今日の試練に着たのだから。
そんなとき、後ろに人の気配を感じた。
振り向くとそこには、一般の女性より背の高い女がたっていた。
「ここに、大召喚士様がいるって聞いてやってきたのだけれど、誰か心当たりある?」
俺は、その問いには答えず、首を横に降った。だが、横にリヴァイアサンの進化前リヴァがいることでことごとく見抜かれてしまった。
「あら、嘘は良くないじゃない、あなたが、大召喚士なんでしょ?」
近づいてくる女性に俺は、退きながら聞き返した。
「そう言うあんたは何者だ?」
「申し遅れてたわね。私の名前は三ノ三璃珈。高天原出身。母は、女神。父は、悪魔そして、五人姉妹の真ん中で呪われた番号を持つ番号家三女です。あなたに力を借りたい。そのために来たの。」
俺は、一瞬高天原と言う言葉に驚いた。いや、神と悪魔のハーフ。そんなわけない。そんな人は、この世にいないはずだった。ヒトと神もしくは、人と悪魔なら存在しあり得る話だが、そんな人物が、また、普通に現在に降りてくることはあるのか?
「そんなに深く考えなくて大丈夫よ。私はあなたを、とって食おうとは考えてはいないからさ。それよりは、最後のダンジョンにあなたが必要なの、力を貸してってだけよ。」
ダンジョン?ダンジョンってなんのことだ?俺は、ここでは聴いたことがないダンジョンがあることに質問した。
「ダンジョンとは一体何を言っているのか?聴いても?」
「あら、あなた知らないの?ほらここの穴から見えるあの大きなピラミッド型のことよ。名前は、アテナの試練、聖域ミッドラストって名前なんだけど本当に知らないの?」
彼女は俺のことを怪しんでいるかのように、首を傾げつつ眉をよせる。
「いや、すまない。本当に知らなかった。ただの建造物だとしか思ってこなかったから。でもあれが、聖域何とかって言うものなのか?」
彼女の顔を見るに嘘は言ってないようだ。だが、あんなピラミッドが聖域だと、騙されてないか?親や、友人にこっぴどく嘘を流し込まれていそうな性格だ。
「聖域ミッドラストよ!何も知らないなんて、あんな怪しい建物普通調査ぐらいするでしょ。」
「そこまで言われても、ワシらには無理じゃよ。」
声のかかったほうへ振り返るとそこには長老である師匠が戻ってきていた。
「まさかな、鮫風家のものでは無かろうな?」
女は身体を一瞬震わしたが首を横にゆっくり振った。
「私は違うわ。」
長老は、さらに怪しんで声を上げて怒鳴りに近い言葉遣いになった。
「じゃあここへの理由は何じゃ?お主は、なぜ?あのような危ないところに行こうと言うのかね。そして、鮫風家じゃないないなら、名乗り証明せよ。」
一気に注文されて女は、ふぅーっと息を吐いた。それから周りの空気が冷たくなったり、所々で稲妻が走ったりと、善からぬことがおきようとしていた。
そして、それがなにかわかった瞬間
「こ、、、これは、何じゃ、、、これが鮫風家じゃない理由とでも言うのか」
「えぇ、そうよ。私は鮫風家じゃない、これが私が何者か示すためのモノ。こんなこと鮫風家じゃ無理でしょ?」
自信満々に言う彼女に俺は、驚愕と同時に呆れてしまっていた。
「鮫風家は、これよりすごいってことだよ。こんなのただの遊びに過ぎない、雷と水を槍に変える芸当なんてお手のものさ。」
そう、彼女のは分子を物質に変えさらにそれを物理的なものに変えただけに過ぎない。
「だから、あんたのそれは証明に「証明になっておる」
長老が声を出して俺の言葉を遮った。
「何言ってんだよ。あれじゃまだ、、」
「お主には見えぬのかあれがただの槍に変えただけのモノじゃないことに。」
そう言われてよくよく見てみるが全くわからない。
「俺には全くわかりません。」
女は、笑い声を上げた。
「私を見てもわからないんじゃ弟子さんはそこまで素質無いんじゃない?まぁいいわ。私のこれが変換して作った"物"だと言うなら教えて上げる。この技を。」
そう言うと女が発生させ作った槍達が無造作に回りだした。そして彼女の上空に、積乱雲が発生すごい雷の音と共に雨が振りだした。
「全知全能の祭壇"天罰"」
そういった瞬間大嵐となり、雷も狙って俺たちに迫ってくる。それらをかわしながら、眼を澄まし雨と風、雷に耐える。
「風は建物すら飛ばし、人へは刃となりて迫り来る。雷は建物を破壊し、人へは焼き焦がす刃となる。雨はつよく降れば振るほどそして、小さくなるほど、貫通の威力が上がる。さて、もうあなた達の身体は血に染まってますが、もう限界ですか?」
その瞬間俺は、思った。この女は何か目的の為にココヘ来たのだと。それを聞かないまでは死ぬことは出来ない。
「お前は、なにが目的だ!」
「言ったじゃない、あの聖域に行きたいのだと。そして、召喚士がどおしても必要なのよ。」
それを聞いて俺は笑みをこぼした。
「それなら、俺がついていってやるよ。だからもうやめろ。」
その瞬間嵐は嘘のように消えた。建物は崩れ、辺りは大きな穴と水溜まり、俺らのいるところは岩でできた地面だけとなっていた。
50メートル先では、川となり洞窟の奥があったところは、大きな穴になってそこに川が繋がっており滝が出来ている。
まさか、こんなことになっていたとは思っても見なかった。あれが、天罰という技なのかと改めて恐怖した。
「これでやっと話しが進むわね。わたしは番号家三ノ三リカあなたは?」
俺の名前か、本名で言わないと殺されそうだし
「黒種丸朱だ、そして召喚獣のこいつがリヴァだ、訳あって小さいが進化すればつよい見方だよ。」
リヴァは小さくお辞儀をするとすぐに隠れてしまった。全くかわいい奴だよ。
「それで、あなたにとってこれは、運命と感じるもの?それとも定めだと思ってる?」
いきなりリカはそんな台詞を言い出した。
一体何を聞かれているのかわからなかったが、背中に、隠れているリヴァが小さい声で
(お主の望むままに事を成してみよ。奴は危険だ。だが化け物とも感じとれぬ。これは、言うなれば相手の信頼に答えるっと言うことだ。)
頭が悪い俺にはさっぱりわからんが、助言をくれたのだと受け取っておく。
「俺はこれを運命(さだめ)だと思っている。」
女の口元が笑う。
「定めだと言うのなら、それに抗う術も知らぬと見た。いいわ。あなたとわたしの最期どちらが先か見に行きましょ。さぁ支度をしてついてきて。」
俺は、空を見て大きく息を吸った。あの時……本当はどうすれば良かったのだろうか?

良き日に災事が起き、その時には多くの犠牲がつくものだ、されどあの暦には、事なしか測れぬ事多なれど回避するのもまた、馬鹿馬鹿しい。
貴殿においてもそれは同じこと……繰り返さぬ災いなどこの世には無い。覚えておくことはただ1つ……時には貴殿らに闇潜むものと光浴びるものの2択しか存在していないっと言う事実だけだ。
若き日に駆けた荒野を見よ……日に焼かれその周辺には死体しか存在などしていなかったのだと言うことを……覚えておけ……この世界には弱肉強食、強いモノがこの地を滑る全ての事実だと言うことを。そして、その全てを蝕むのは、[バケモノの巫女のみだ]という事を
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