冷徹社長の初恋
でも、頭の中のもう一人の私が、ブレーキをかける。あんな素敵な大人の男性にエスコートされたり、抱きしめられたりしたから、勘違いをしているだけかも。春日さんなら、そんな真摯な対応は日常茶飯事だろうし……

それに、私なんて相手にされるわけない。ちょこちょこからかわれるぐらいだし。
考えれば考えるほど、気分が沈んできた。

いけない。気持ちを切り替えないと。
せめて、春日さんの役に立てるように、頑張らないと。

とりあえず、オフホワイトの薄手のアンサンブルに、水色のフレアスカートという、ほぼ通勤着に近いけど、休日に出かける時しか着ない色合いのものに決めた。

服装で迷ってるうちに、思っている以上に時間が経っていたようで、あっという間に時間になっていた。
急いで外に出ると、すでにタクシーが待っていた。

「町田さんですね?ご乗車ください」

「お願いします」


< 113 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop