冷徹社長の初恋
タクシーで30分ほど行くと、周りはずいぶん背の高いビルが乱立してきた。私の住んでいるところよりも、ずいぶん都会に来ていた。
タクシーは、その中でも一際背の高いビルの前に横付けした。

「お代はいただいているので、大丈夫ですよ」

「ありがとうございました」

タクシーを降りて、改めて目の前のビルを見上げた。何階ぐらいあるのだろうか……
とりあえず、事前に言われていたように、春日さんに連絡を入れると、そのままロビーで待つように言われた。

少しすると、一人の男性が近づいてきた。

「町田絲さんですね?」

「はい。そうですけど……」

あれ?この人……

「私、春日の秘書をしています、清水と申します。社長は今、手が離せなかったので、代わりにご案内させていただきます。こちらへどうぞ」

「は、はい」

やっぱり。見学の時にお見かけした、秘書さんだ。



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