冷徹社長の初恋
春日さんは運転席に乗り込むと、すぐに車を発進させた。

「春日さん、どこへ向かってるんですか?」

信頼できるとは感じても、行き先を知らないのはなんとも心細くて声をかけた。

「お茶でもしながら話そう」

春日さんは、私に不安があることを感じたのか、若干声のトーンを和らげた気がする。

それにしても、いったい何を話すのだろう……
考え事をしていると、不意に声をかけられた。

「絲、今日は何をしていたんだ?」

「あ、あの、絲って呼び方は……」

「ああ、俺の部下にも町田がいる。そいつと区別するために、絲って呼んでいるがだめか?」

「い、いえ。そういうことなら……」

理由がわかってホッとしたものの、やっぱり男性から名前を呼び捨てされるのは恥ずかしい。

「で、今日は何をしていたんだ?」

「今日は、ついさっきまで職場で仕事をしていました」

「そうか。教員も大変なんだな」

「終わりがわかりづらい仕事なので」

「確かにそうだな」

春日さんは、納得したように頷いた。

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