冷徹社長の初恋
「春日さん、川原先生、ここでよければ座って話しましょうか」

体の大きな春日さんには、教室で私が使っている大人用の椅子を勧め、私と川原先生は子供の椅子に座った。

「えっと、春日さん。まずは使っている教科書をお見せしますね。どんな流れで、何を学習して見学を迎えたのかがわかると思います」

私が教師用の教科書を差し出すと、春日さんは手に取って眺めていた。

「へえ、教師用の教科書なんてあるのか」

「はい。教科書を教えるのではなくて、教科書で何を教えるのかが大切なんです。その一助となるヒントとか、活動の例なんかが書かれているんですよ」

「町田先生の言う通りです。教科書は目的ではなくて、手段にすぎないのです」

川原先生がフォローを入れてくれる。そのまま、説明を引き受けたとでも伝えるように、私と目を合わせて軽く頷いた。

「春日さん、私の方から、今やっている学習の流れを説明しますね」

川原先生が話し始めると、春日さんは頷きながら聞いていた。

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