続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん

「柳田さん?」



「琴梨ちゃん、何かあった?」



「え……なんでですか……」



「だって今日の琴梨ちゃん、
 図書館に来てくれる時と、全然違うから」



こんなおめでたい席なのに、
私、そんな暗い顔していたのか……



「彼に……嫌われちゃって……」


 
昨日の礼音くんが私に向けた、
冷たい眼差しを思い出すだけで、
私の心は急速に冷凍された。



「彼と琴梨ちゃんのことは、
 俺にはよくわからないけど……

 大丈夫だよ」



「え?」



「彼が琴梨ちゃんを好きだって思う気持ち、
 わかるような気がするから」


 
「それって……どういう意味……ですか?」



「え……と……

 まぁ、琴梨ちゃんなら大丈夫ってこと。

 信じていればいいんじゃない?
 彼のこと」



柳田さんはそう言うと、
私の頭をポンポンしてくれた。



「俺、車で来たけど送って行こうか?」



「家が近いので、大丈夫です」



「そんな、両手に大荷物を抱えて大変でしょ。
 それにさ、
 琴梨ちゃんに聞いてもらいたい話があって」



「なんですか?」



「藤堂学の小説を読んだらさ、
衝撃の展開に驚いちゃって。

『月のにおい』読んだって言ってたよね?

俺の感想をさ、
琴梨ちゃんに聞いてもらいたくてしょうがなくて」



「フフフ。
 柳田さんって、本当に本が好きなんですね」



私は柳田さんの小説愛に押されて、
車で家まで、送ってもらった。




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