続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん
息を吸うだけで、鼻の中まで冷たくて痛いけど、
どうしても礼音くんに会いたくて
2時間外で待っていた。
「お先に失礼します」
あ……礼音くん……
美容院の外に出た礼音くんに向かって
走り出してはみたものの、
その足が止まってしまった。
「ねえ礼音、どこに飲みに行く?」
「え?いつもの店で良くない?」
礼音くん……
一人じゃ……なかった……
礼音くんの隣には、
雪のような真っ白いコートをまとった女性が、
一緒だった。
二人は私の方に歩いてくる……
私は逃げるように、
路地に入り込んだ。
「やっぱり外は寒いね。
礼音、温めて。」
「里奈がそんな薄いコートを、
着てるからだろ?」
「だって、
『オシャレするなら、寒いの我慢』って、
雑誌に書いてあったよ」
「ほら、これ巻いておけ」
礼音くんはそう言って、
自分のサックスブルーのマフラーを、
その人にふわりと巻いてあげた。
「礼音さ、
今度の土日って旅行に行くんだっけ?」
「やめた。
ホテルにキャンセルの電話しないとな」
「え?なんでなんで?
じゃあさ、一緒に旅行行こうよ。
キャンセル代、もったいないじゃん」
そう言いながら通り過ぎ、
二人はどんどん私から離れていく。
もう3日も家に帰ってきてないけど、
今の綺麗な人の家に、
泊めてもらっているのかな……
やだ!やだ!
このままじゃ、
本当に礼音くんがいなくなっちゃう。
私はバックから携帯を取り出すと、
慌てて礼音くんにメールをうった。