続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん

『礼音くん、お仕事終わった?
 今から話せないかな?』



お願い、返事を送って。



ピコリン



1通のメールが
私の元に届いた



『まだ仕事中だから、ムリ』



仕事中じゃ……ないよね……


綺麗な人と……飲みに行くんだよね……



私はその場に立っていられず、
崩れるようにしゃがみ込んだ。



なんでそんなウソをつくのかな……

やっぱり私のことなんか、
嫌いになっちゃったのかな……



今の女の人のこと、
好きになっちゃったのかな……



考えれば考えるほど、
大粒の涙がぼろぼろこぼれ落ちる。



「大丈夫ですか?」



通りすがりの人が、私に声を掛けた。



ヒックヒックしながら見上げると……


「琴梨ちゃん?」


私に声を掛けてくれたのは、
礼音くんの美容院の店長、
裕章(ひろあき)さんだった。



こんな惨めな姿……

誰にも見られたくなかったのに……



私はこぼれる涙を手のひらで拭い、
「大丈夫です……」と、
なんとか声を出し、その場から走り去った。
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