続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん

「大丈夫か?もう熱は、下がったのか?」



「うん。もう平気。
 看病してくれたんだね。礼音くんありがとう」



「俺さ……」



「カメレオンって、けっこう辛いんだね……」



「え?」


カメレオンという言葉に、
俺は固まってしまった。



「私ね、
 礼音くんが好きって言ってくれる女の子を
 演じていたら、
 本当の自分が、わからなくなっちゃった。

 カメレオンになるの、もう限界みたい……

 だから……」



「……」



「礼音くん……

 別れてください」




 別れる……?

 俺と琴梨が……?



そんなの絶対に嫌だ。



俺は琴梨しか目に入らないくらい、
琴梨のことが大好きだから。



 いますぐ、
 目の前で涙をポロポロながした
 琴梨を抱きしめて、
 『行かないで』と言いたいのに、

 俺の体は金属のように冷たく固まったまま、
 動いてくれない。



それは、
全く予想していなかった琴梨の言葉が、
俺の胸をえぐっているから。



『カメレオンになるの、もう限界みたい……』

 

人の顔色をうかがって、
自分を作り変える辛さは、
俺が一番よく知っている。



それなのに、俺が琴梨を、
カメレオンにしてしまっていたなんて……



「これも、礼音くんに返さなきゃ」



そう言って、俺の手のひらに置かれたものは、
初めてのお話会の時に俺がつけてあげた、
あのヘアピンだった。



「礼音くん、バイバイ」



琴梨は涙を流しながら微笑むと、
玄関のドアを開けて行ってしまった。

 
 
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