続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん


「なんで琴梨に、
 すみれ色のワンピースを着ていって
 欲しくなかったわけ?」



「琴梨が……可愛すぎだったから……」



「へ?」



「あの、柳田って奴も結婚式に来るって言うし、
 そいつの前で、
 そのワンピースを着て欲しくなかった。

 それに柳田の他にも、
 男たちがいるだろうし……」



「素直に琴梨に伝えていれば、
 こんな、別れる別れないにならなかったのに。

 全く、世話が焼けるんだから、二人は……」



「でも翼先輩……
 さっき私に言いましたよね?

 私と礼音くんじゃ、
 この先一緒に生きていく相手として
 合わないって」



「今のままじゃ、
 また同じ喧嘩が起きると思うからよ。

 琴梨は相変わらず自分に自信がなくて、
 礼音くんに嫌われないようにって必死でさ。

 礼音くんも琴梨が大好きなくせに、
 肝心なことは言わないでしょ。

 男のくせに恥ずかしいとか
 思っているかもしれないけど。

 だから、
 また今回みたいな心のすれ違いが起きたら、
 修復できない亀裂が入りかねないって
 言ってんの」



「翼先輩……
 俺たち……どうしたら……」



「それは二人で考えな」



「あの……俺の存在……
 忘れられてるんですけど……」



ひょっこりと顔を出したのは、
開都くんだった。



「開都くんも……いたんだね……」



「酷いですよ!翼先輩!

 琴梨先輩と礼音先輩のためって言うから、
 俺が礼音先輩をこの店に連れてきたのに」



「開都の存在、忘れていて悪かったよ。
 まあまあ、後で1杯おごるからさ」



「み……みなさん……
 この状況は……どういうことですか?」



 今思えばおかしすぎる!

 翼先輩と二人で話していたのに、
 いきなり礼音くんが現れて。

 そのうえ、開都くんまで。



「開都に頼んだんだよ。
 私と琴梨がこの店に来るから、
 礼音くんを連れてきて欲しいって。

 この壁の向こうの席に、
 いたんだよね。二人は。」



「じゃあ、礼音くんは……
 私が話したこと……聞いていたの?」



「ああ……」



「どこから?」



「初めから……」



 私の体中の血が逆流したかのように、
 体中が熱くなってきた。



頬なんて、
きっとリンゴ病と間違えられるくらい、
真っ赤になっているに違いない。



「琴梨、きちんと話したいからさ、
 一緒に家に帰ろう」



「う……うん」



「開都は私と朝まで飲むよ」



「良いですけど……
 翼先輩は、飲むと甘えてきてかわいいし」



そして私は礼音くんとタクシーに乗り、
一緒に住んでいたアパートに帰ってきた。


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