金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
✴︎プロローグ✴︎
         *・。

○・
*・
         ○・


死にたかったわけじゃない……。 別に。

そう… 別に。

あの時、心が少し泣いてて……

そう… 少し。    少しだけ。



この大きな水槽の水面がとても眩しくて…

キラ…キラ…って光に

ルラルラ…って揺れて、誘われただけ。


この水中に倒れ込んだなら 心地が良くて…

光に目がくらんで…私はきっと、渦巻く水流に真っ白に洗われる。

そんな気がした。


そう…私の奥まで…


心さえも…白く、もう一度。

漂白。


この後に及んで、恋も愛もまだ、おぼろげで…

まだ、未完成すぎた「 好き 」の代償が大き過ぎて……

今、

なぜか…この校舎裏のプールに飛び込んでいた。

真新しい制服を着たまま。

転校 3日目。

正しくは補習 3日目。

夏、真っ盛りのプールサイドは 蝉の声に占拠されていて

バシャーーーーーンっ!!

と、溺れ沈むその音を掻き消した。




フェンス越しの水面に引き込まれるように、
私はプールの入口の柵を越えて忍び込んだ。

気がつくと静かにプールサイドを歩き……

飛び込み台に上がっていた。

目を閉じると、塩素の匂い。



まるで死刑台。



そこに上がった私は…

真夏の熱風に

不思議と清々しかった。
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