金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「恨んでなんかいない。
母さんは義父さんにDVを受けてて…心の病になったんだ。
正しい事が分からなくなって…いつからか母さんも僕に手をあげるようになった。」

「 ………それって……。」

「虐待ってやつだよ。」

「ひどい……。自分の子供…なのに。」

苦しいのは抱きしめられている強さじゃない。

私の罪悪感。

「僕の本当のお父さんは僕が生まれてすぐに亡くなったんだ。
この小さな金魚屋を残して…。
誰かに頼って…縋るしか母さんは生きていけなかったんだと思う。
とても…価値のある金魚たちも、小さな僕も…彼女の運命を狂わせた。」

「自分の…子供なのに。命…なのに。」

瑠璃の声を聞きながら、私は私の罪に問いかける。

「せっかく生まれた子供なのにっ!」

「生まれてこなければよかったって…思った事もあった。」

「そんなこと……そんなこと言わないで…」

私は瑠璃のTシャツが濡れる程…彼の肩に顔を埋めた。

それと同時に恐怖で足元に力が入らない。

「金魚たちだけが、小さい頃からの僕の癒しだったんだ。
だから…金魚と目が合うと彼らの声が聞こえるような気がした。」

後からあとから、零れる涙に…やっぱり息がしにくい。

私の赤ちゃんと瑠璃が重なって、罪悪感に支配される。
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