金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「菜乃、少年はいつだって前向きだったんだ。これだけは…わかって。」

「 ……瑠璃。」

「あの日だって…それより前からずっと、どんなに傷ついても…どんなにいじめられても…僕は未来を夢見てた。」

私は瑠璃から身体を起こすと、彼の左頬を見つめた。



「未来を信じてた……。」



傷なんて全く無い。

とても美しく艶のある皮膚。

私は瑠璃の温かい皮膚を手のひらでなぞった。


そして…桃色の彼の唇に瞳を閉じる…

瑠璃も同じく瞳を閉じて…そっと首を傾けるのがわかる。

近づく唇の気配に…瑠璃になら委ねていいと思った。

瑠璃のことが大好きだから……

そう気づいたから。

けれど瑠璃は触れそうで触れないところで唇を止めて、私の肩から両手を下ろした。

私はさっき引いたジェンガのブロックを瑠璃に握らせる。


“ 愛を囁く” だって…。

「………大好きだよ。瑠璃…。」

瑠璃はもう一度、私を抱きしめると、ぎゅっとしたまま話を続けた。

「僕の傷は…義父が熱湯をかけたんだ。」

私は耳を疑う。

「カップ麺のお湯を頭からね。」

息が止まる。

息が出来ない。

瑠璃があまりにも全力で私を抱きしめるから……。

息が止まったままだよ。



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