金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
  私の罪。

「 大丈夫…。分かってるよ。」

………えっ………

「大丈夫。許してるよ…子供って、皆そうなんじゃない? 母さんが幸せなら、僕も幸せなんだ。」

「 ………瑠璃。」

「幸せでいて欲しい。笑顔を見せて欲しい…。
そういうもんなのかな……。」

「瑠璃、私…本当は瑠璃と一緒にいちゃいけない人間なのかもしれない。」

「僕のために、笑って欲しい…。僕が、母さんを笑わせる…そう思ってたよ。」

「……優しいんだね、瑠璃は…。痛かったはずだよ…辛かったはずだよ…。」

「菜乃、金魚占いをしよう。はい…選んで……。」

瑠璃はそう言って両手の拳を突き出して笑った。

薄暗い店内に…陽だまりのような笑顔。

「ごめん…瑠璃。私みたいな人間を許して…。」

「何、言ってんだよ。菜乃が僕を救ってくれた。僕は…菜乃に救われたんだ。」

「 ……そんな…それは違うよ…。」

瑠璃からの思ってもいない言葉に一層…胸が苦しくなる。

「さっ、ほら…選んでっ…。」

私は、やっぱり…左の拳を指差した。

瑠璃の手のひらから、グリーンの包み紙の金魚が現れる。

瑠璃の瞳と同じ色。

中身はピンクの飴玉。
< 120 / 160 >

この作品をシェア

pagetop