金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「瑠璃、もう一つ教えて…何があったの?
この商店街に……一体、何があったの?」

私は、震える胸を悟られまいと小さく細く…深呼吸をする。

「あの日…1999年8月23日…母さんは、あの部屋で寝ていた僕を刺した。
あの日の僕は、朝から少し頭が痛くてね…薬を飲んで早めにベッドに入ったのを覚えているよ。」

深呼吸を吸ったまま止めてしまう。

「胸を刺された後、写真立てが割れる音を…最後に聞いた。
その後、母さんはこの店で焼身自殺をした。
ガスが充満した部屋に火をつけて、自身にも火をつけた。
古い長屋での爆発は…あっと言う間に商店街を飲み込んだ。
戦後から続いた古い商店街だったからね。
煙が充満したんだ。」

彩香の話は本当にあった話だ。

「あれから…20数年…僕は夢の続きだけを願って、ここに居たんだ。
願い続ければ、いつか夢は叶う…と。」

「 ……瑠璃…… 」

瑠璃は大きな水槽に両手をつけて、また愛おしそうに金魚たちを見つめる。

私はその隣に寄り添うように立つと、瑠璃と同じ角度で金魚たちの泳ぎに目を細めた。

「誰も怖がらない皮膚を手に入れて、君に恋をして…夜市へも行けた。
この店から外に……
神様って本当にいたんだね」
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