金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「広斗…ごめん。
できない…瑠璃を一人にできないよ。」

私が、私の罪から許されるとしたら…こんなことしか思いつかない。

瑠璃を死なせない。


「菜乃、僕…もう行かなきゃ。
彼の言う通り、期限も近いし…相当、朽ちてきている。」


何で、瑠璃は朽ちてなんかない…皮膚だってとても綺麗だし…

「瑠璃、もう寂しくて悲しい気持ちになんかさせないっ。
私を連れて行って。」

「菜乃っ!!行ったらダメだっ。
信じろよっ。未来を信じろっ!
自分を信じろよっ!!」

「私、行かなきゃ………」

「菜乃、死ぬなっ!!死んだらダメだっ!」

「私が行かなきゃ、瑠璃の魂が…消えちゃうの。」

どこからか、地の底から渦巻く海鳴りのような音が押し寄せる。

広斗は、私の方に身体を迫り出して苦痛の表情を浮かべながら、何か強い力に負けまいと必死に堪えていた。

背後にゴーーーっと迫る…海鳴り。

「俺は、お前を死なせる訳にはいかねぇーんだよっ!!
自分を信じられないなら、俺を信じろっ!!」

「 ………広斗。」

「お前の罪なんかっ…俺がなんとかしてやるっ!!」


広斗……広斗……

私にとって、その生命力は……

彼の生命力は…

やっぱり愛おしい。

生きることに恋しくなる……。




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